多職種連携を視野に連携授業に取り組む
養成校がチャレンジする、「にほんごをまなぼう」を
活用した留学生の日本語能力底上げ!
新大阪駅にほど近い、洗練されたビルは一棟丸ごと、大阪保健福祉専門学校。
オシャレなエントランスには、日本の介護を学ぶ外国人留学生が明るい笑顔で通学して来る。
ロビーではスマートフォンを手に「にほんごをまなぼう」で、介護の日本語を学ぶ留学生の姿も!?
「にほんごをまなぼう」を導入して、留学生の日本語能力の底上げに取り組む
養成校の皆さんに話をお伺いしました。
大阪保健福祉専門学校
介護福祉科 専任教員
秋元 祐希さん
(あきもと ゆうき)
貴校にはどんな特長があるのでしょうか?
秋元 本学は、学校法人 大阪滋慶学園 が1997年に開校した介護福祉士養成校で、私も卒業生の一人です。介護施設勤務を経て、専任教員を務めています。介護福祉科の他に看護学科、保育科と医療と福祉の学科が揃っているため、多職種連携を視野に、学科を跨いだ連携授業を取り入れています。ベトナム、フィリピン、インドネシアなどから留学生を積極的に受け入れています。
もっと知りたい、学びたい!熱い気持ちを持つ外国人留学生は、
学習姿勢も真面目で、積極的!
外国人留学生は明るく元気な様子ですが、皆さんの意欲・意識
には、どのような印象をお持ちでしょうか?
秋元
国を離れて、日本で勉強をしたいという強い意志を持って、頑張ってくれています。日本人の学生でも思いが強い人はたくさんいますが、真面目に取り組む姿勢を見ていると、留学生は凄いと見ていて感じますね。
毎年、介護福祉科では、介護のイベントを開催しているのですが、そこで、留学生のご家族の動画や、応援メッセージを撮ってもらったり、留学生に発表をしてもらったりしています。そこでは、留学生が「家族と離れて寂しいけど、しっかり介護のことを学んで、私は頑張ってるよ!」という思いを一生懸命、話されていました。それだけの思いを持って来たという強い思いを感じる瞬間がありました。
外国人留学生の授業への姿勢はいかがでしょうか。
秋元 授業をしていても、留学生たちは質問も積極的で、「先生、ここはどうなんですか?」、「もうちょっとそこを詳しく教えてください」と、自分から知りたいという姿勢を見せてくれる学生が多いのでそれだけ一生懸命学びたいという気持ち、情熱、熱い気持ちがあるのだと感じますね。
音楽療法の授業風景
大阪保健福祉専門学校
教務副部長・介護福祉科
学科長
藤原 孝之さん
(ふじわら たかゆき)
スマホで学習できること、学習状況を管理できることが、
「にほんごをまなぼう」導入の決め手!
貴校で「にほんごをまなぼう」を導入された経緯をお聞かせください。
藤原 留学生のほとんどは、日本語を勉強するために、介護の授業でも、日常においても、スマートフォンを使って、いろいろ調べたりすることが非常に多いです。スマートフォンを使って何かを調べて、学ぶことにとても慣れているのです。日本介護福祉士会によるWebサイト「にほんごをまなぼう」を知り、スマートフォンでも使えるというところ、いつでも、どこでも、すぐに使えるのが、良いところだなと思って導入を考えました。
スマートフォンで学習できることが導入の決め手だったのですね。
藤原 はい。あと、もう一つは、管理しやすいこと。誰がどの部分を勉強していて、どれぐらい進んでいるのか確認できることです。
「にほんごをまなぼう」の導入で、
留学生の日本語学習意識、意欲が向上!
実際に「にほんごをまなぼう」を導入してみて、どのような印象をお持ちでしょうか。
藤原
留学生が日本語を勉強する意識、意欲が高まったのではないかと思います。私たちは介護の教員なので、日本語を教える技術が未熟というところもあります。日本語を教えることができない分、「にほんごをまなぼう」を使って、日本語をまず学ばせて、教員がその都度、学生の進捗状況を把握し、次のステップとして、介護の勉強へと繋ぐことができるのは、大きなメリットだと感じています。
また、入学前教育への「にほんごをまなぼう」の導入を検討しています。例えば、入学が決まった時点で、日本語を学んでからでないと、介護を学ぶのは難しいということも説明して、「にほんごをまなぼう」をご紹介して、事前に日本語を学習してもらいます。介護を勉強する導入の部分で役立つと思います。
人を知ることが、介護には非常に大切なこと。
生活習慣や文化の違いを乗り越え、留学生に学んで欲しい。
日本で介護を学ぶ、外国人留学生の皆さんに、メッセージをいただけますでしょうか。
藤原
介護の専門学校では、基本的には技術と知識を教えることが多いですし、介護福祉士の国家試験に合格することに目が行きがちです。ただ、長く介護の現場で働くためには、それだけでは難しい部分があります。人を知るということは、介護には非常に大切なことです。高齢者を学ぶ、人を学ぶことを、しっかり勉強していただけたら良いのではないかと思います。
今の日本の高齢者がどういう生活をして来られて、どんな思いを持って施設で生活されていて、
介護を受けているのか。これからどんな生活をしていきたいのか、ということを外国人も知るということは大切だと思います。
国によって生活習慣や文化は違いますので、なかなか理解が難しいと思いますが、人間という部分、人と人という部分では一緒です。介護福祉士の資格取得という非常に難しい勉強を外国人の立場でしないといけないので、大変だと思うのですが、人を学ぶということを大切にしてもらえたらと願っています。
学内のPCルームにて「にほんごをまなぼう」で日本語学習
アニメ、着物、桜・・・留学生の日本への
興味のきっかけはさまざま。
世界で高く評価されている日本の介護技術。
アロマテラピー療法の授業風景
大阪保健福祉専門学校
学生
グエン ミン フエさん
ベトナム出身
日本語能力試験:N2
スマートフォンで学習
大阪保健福祉専門学校
学生
ゴ ティ ミー リンさん
ベトナム出身
日本語能力試験:N2
スマートフォンで学習
大阪保健福祉専門学校
学生
ディア アユ
クスミアティさん
インドネシア出身
日本語能力試験:N2
スマートフォンで学習
大阪保健福祉専門学校
学生
ハンナ インタン
アプリアニさん
インドネシア出身
日本語能力試験:N2
スマートフォンで学習
日本に興味を持ったきっかけ、日本で介護の勉強を
しようと思った理由をお聞かせください。
グエン
私は中学生の頃からずっと日本のマンガとアニメを観ていたので、日本は面白い、綺麗なところがたくさんある、日本に行ったら、良い体験ができるかなと思っていました。
短大を卒業した後、知り合いから、日本での介護を紹介されました。両親や周りの人が年を取っても、介護の勉強をすれば、自分で介護ができると思い、介護の勉強をするようになりました。
ゴ ティ 私は日本の文化として、着物に興味がありました。介護といえば日本が一番発展している国だと思って、日本のさまざまな介護技術を習得して仕事をしようと思い、留学を決めました。
ハンナ
日本語が面白く、興味を持ちました。漢字、ひらがな、カタカナ書きがあり、日本に興味を持つきっかけになりました。最初は漢字を見るのは目が痛いくらいでしたが、漢字は書き方も難しいですが、形、書き方、意味が分かるようになると面白いです。今では、全部ひらがなで書いてあったら、とても読みづらいと思います。
母が「日本は超高齢社会なので、しっかり日本語と介護を勉強しに行ってください」と言ってくれたのが、留学生として日本に来たきっかけです。母親に介助をしたこともあるので、もっと介護の知識を身に付けたいです。
ディア 日本の文化は独特だと思います。特に日本の着物、日本の布、日本のかたちは世界と比べたら、特長があります。私は芸術的なことが好きなので、日本に興味を持つようになりました。日本語能力を鍛えながら、日本で就職したかったので、介護の専門学校に入学しました。
スマートフォン、タブレットを使って
「にほんごをまなぼう」で日本語学習
日本語学習の復習、国家試験対策にも活用
できる「にほんごをまなぼう」が忙しい介護を学ぶ専門学生の味方。
「にほんごをまなぼう」を使って、日本語を学習した感想をお聞かせください。
グエン 専門学校に進学してからは、日本語を勉強する時間があまりないので、一部、忘れてしまいましたが、「にほんごをまなぼう」を使って、もう一回復習できました。『介護の日本語』Webコンテンツは、各科目が分けられ、文字、音声、イラスト付きで勉強できて、言語も選択ができるので、自分なりに勉強できました。私の勉強に役立つと思います。
ゴ ティ 「にほんごをまなぼう」には、日本語の勉強だけではなく、日本の介護の勉強や『外国人のための介護福祉士国家試験一問一答』なども載せられているので、とても便利だと感じています。また、専門用語には、ふりがなも付いているので、分かりやすくて、新しい勉強も、復習もできると思います。
ハンナ 専門学校で2年生になってから、日本語の勉強にあまり集中できませんでしたが、「にほんごをまなぼう」を使用することで復習するようになりました。さらに、日本語だけではなく、介護のことも載っているので、役に立ちます。特に外国人向けに、とても助かると思います。
ディア 母国のインドネシアをはじめ、日本以外にいる人たちで、日本の介護を勉強しようと思う人たちにとっても、日本語と介護を学ぶことができるWebサイトがあることは役に立つと思います。「にほんごをまなぼう」のWebサイトがあるのは助かります。
積極的に活用されていて、嬉しいですね。
皆さんの将来の夢をお聞かせいただけますか。
グエン 日本の介護の方法を学んでから将来、自分の力で両親や周りの人が年を取った時に介護ができるようになりたいです。
ゴ ティ 高齢社会に役立つ人になりたいです。
ハンナ 介護の教員になることです。
ディア 自分の会社を作ることです。
スマートフォンを使って
「にほんごをまなぼう」で日本語学習
取材を終えて
取材に訪れた際には、音楽療法、アロマテラピー療法のような特長的な授業も行われており、それぞれの夢を抱く留学生たちの明るく元気で、とても真剣な姿を拝見することができました。そして、熱い思いを抱く留学生に対する先生方の敬意、愛情が感じられました。これからも「にほんごをまなぼう」は、多くの外国人介護人材のみなさんが夢を実現することを応援していきます。