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令和7年4月24日。及川会長が第27回社会保障審議会福祉部会に出席しました

今回の福祉部会では、「地域共生社会の在り方検討会議」や「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」の検討状況等を踏まえた議論がおこなわれました。
及川会長は、「地域共生社会の在り方検討会議」について、以下の3点について発言しました。

包括的な支援体制の整備にあたっては介護福祉の専門性の活用は欠かせないと考えている、としたうえで以下について発言しました。

  • 施設や訪問介護等の在宅サービスに限らず、介護の現場では、多様な介護ニーズを抱えた者の生活・暮らしをお支えしている。ますます高齢化するなかで、認知症のある方も増加している。認知症があっても、地域住民の理解が深まれば、地域の中で生活・暮らしを継続することは可能である。また、介護現場で介護サービスの提供を通した生活課題の発見は少なくない。発見した課題のうち、地域課題として捉えるべき内容については、地域で他関係機関と連携して対応を進めていくことも可能である。
  • 京都市では、地域の中で事業を展開する地域密着型サービスで、ケアワーカーが地域の中での要援助者や地域の課題に第一に接することが少なくないことから、そのケアワーカーが高い専門性と感性、マネジメント能力を備えることで、地域の要援助者や課題を早期に発見し、関係機関と連携して適切な課題解決や要援護者の支援に結びつけることができるとし、コミュニティケアワーカーを養成・配置し、実際に活動が展開されていると承知している。
  • そもそも、介護現場では、要介護者等に対する介護サービスの提供のほか、家族などの介護者に対する介護スキルの指導、介護サービスや意思決定支援にかかわる相談事への対応、地域課題として備えるべき資源の開発への関与など、様々なかかわりが展開されている。
  • なお、介護福祉士会の取組の実例としても、地域住民を対象とした介護講座や介護予防体操の提供、民生委員を対象とした認知症の方とのコミュニケーションの取り方等の勉強会などの取組がある。
  • 介護福祉士会として推進している認定介護福祉士には、地域における介護力向上のための学習内容を組み込み、そういった人材育成をおこなっているところであるが、いずれにしても、特に、介護ニーズを抱える方々が増える中で、地域共生社会における包括的な支援体制を整備するにあたっては、介護福祉の専門性を活かした取組も有効に活用すべきであると考える。


災害時の被災者支援との連携の在り方

  • 能登半島地震に限らず、介護福祉士会では、大規模な自然災害があった際、行政機関からの応援要請に応じた被災者支援をおこなっている。主だったものとしては、「避難所等における要介護者等を対象とした介護ニーズへの対応」、「一般避難所等における避難者の見守り支援」がある。
  • 避難所等における要介護者等を対象とした介護ニーズへの対応についていえば、DWATや法人間連携等による人材派遣などの公式なルートからの支援がおこなわれるまでの間の繋ぎ人材として、また、一般避難所等における避難者の見守り支援についていえば、避難所のなかで生活を余儀なくされる方々の中におられる足腰の弱い方の歩行支援、夜間のトイレ誘導などの支援をおこなう人材として、それぞれ、ボランティアで、介護福祉士等の派遣をおこなっている。
  • いずれも極めて重要な機能であると考えており、実際に評価もいただいていると理解しているが、ボランティアという労災の対象にならない、不安定な立ち位置であること、これらの取組がどこにおいても適切に発動できる体制を整備しておくことが必要であること、などを踏まえれば、この取組をおこなう体制をオフィシャルに構築し、平常時から備えておくことが本来的に望ましいと考えている。


次に、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」については、介護保険部会でも同様の発言をしたが、としつつ、以下について発言しました。

  • 特に介護人材の確保のところでは、多様なニーズを抱える方々に適切に介護を提供する介護専門職を育成・確保していくことの必要性を踏まえた議論が必要である。例えば、介護福祉士を代表する介護職員は、新型コロナ感染症が蔓延する中では、施設・事業所の介護福祉士等が、介護現場の最前線で感染予防をしながら、世界のどこよりも低い死亡率という実績をもって、高齢者等の生活・暮らしを支え続けた。また、介護福祉士会としては、能登半島地震の1.5次避難所において要介護者を対象とした介護ブースで介護を提供させていただいた。そこでは、避難所に送られてきた方々に対し、心身状況の把握をしながら、その場で対応できる最善の介護を提供し続けた。私自身もこの役割を担ったが、大きな心身機能の低下もさせずに、2次避難所にお送りできたのは、極めて高い介護の実践力を備えた仲間が集まっていたからだと考えている。つまり、介護現場は、介護実践力のある介護人材がいてこそ成立するということである。
  • 他方で、報告でも触れられている中核的な人材には、多様な介護人材への指導・育成、介護職チームによるケアのコーディネート、チームメンバーの人材マネジメントといった機能なども求められている。ただ、これらの機能は、十分な介護の実践力を備えた人材でなければ適切に担いきれるものではなく、だからこそ、介護福祉の専門職としての倫理を備え、専門的な介護実践力を備えた介護福祉士の確保が必要であり、それぞれの中核的人材に求められる機能を明らかにしたうえで、それぞれの機能を担うことができる人材の確保方策を定めることが重要である。
  • そして、こういったことを明らかにしたうえで、中核的な機能を担う介護福祉士等が適切に評価されるべきであり、そうすることが、介護職の魅力の向上につながり、人材確保の確立につながるのではないかと考えている。